傑作・剣道青春小説「武士道シックスティーン」の、待ちに待った続編なのだ。今回も痛快で爽やかな、期待を裏切らない傑作学園ものなのだ。

武蔵を心の師と仰ぐ剣道バカの香織。日本舞踊から剣道に転向したお気楽な早苗。二人は同じ女子高の2年になったが、早苗は家の事情で福岡の強豪校に転向。神奈川に残った香織は、後輩の指導に努めていた。転校先で早苗は、勝敗優先の練習方法に戸惑い、残された香織は、ライバル不在に戸惑っていた。

誉田哲也には、血と暴力の臭いばかりするグロい小説しかないと、大半の読者は思っているだろうが、こんな素晴らしい青春小説も書けるのだ。逆になんでこの「武士道シリーズ」や「疾風ガール」のような、爽やか青春ものをもっと書いてくれないのかい。やたら殺人鬼ばかりバッコする小説の方が、そんなに売れるんか・・・。
ま~とにかく、この「武士道シリーズ」は読んでいて楽しくなること請け合いだ。今回、あえて流行のスポーツ小説とか言わないのは、剣道がスポーツではなく、「武士道」だからだ。武士道とは何か、なぜ剣道をスポーツと言わないのかは、この小説を読めば分かる。素晴らしく、よく理解できるのだ。

また、この小説の魅力は、主人公たちの際だったキャラに負うところが大きく、そこが他のスポーツ小説と一線を画しているのだ。ライバルであり、戦友であり、親友でもある、喧嘩っ早い香織と、お気楽な早苗。二人が交互に語る形式でお話が進むのだが、対照的な二人なので行動パターンが真逆なのが楽しい。一作目の「シックスティーン」を読んだ時のインパクトほどではないのだが、武士道オタクの香織の行動には、何度も吹き出してしまった。

今回の「セブンティーン」になると、強烈な香織より早苗の出番が増え、青春小説らしく苦悩や心の揺れが丁寧に描かれている。続編を書く予定がなかった「シックスティーン」は、青春小説として良くまとまっていた。そのため、続編「セブンティーン」を書くことに、苦労したことは容易に想像できる。続編は、どうしても二番煎じに陥ってしまうからだ。

「シックスティーン」で、初めて人の死なない小説を書いた誉田哲也が、そのあまりの評判の良さに、シリーズ化を決めたのだろうな。その期待に、しっかり応えられるだけの力量があるのだからたいした作家だ。これで「エイティーン」が、よけいに待ちどうしくなったもんだ。

武士道とは何か。「五輪書」を読まずとも、分かった気分にさせてくれる、爽快な青春小説なのであった。もしこの「武士道シリーズ」を未読なら、「シックスティーン」からお読みください。面白さは、保障できますな。