ラノベ作家が書いたミステリー「栞子さんと奇妙な客人たち」のお話である。これが意外にも、素敵で面白い。古書にまつわるミステリーなので、本好きにはたまらないお話なのだ。

北鎌倉にある古びた古本屋「ビブリア古書堂」は、まだ若くきれいだが、とんでもなく人見知りな女性が店主だった。その店主が大怪我で入院中に働くことになった大輔は、古書にまつわる謎や秘密を、女性店主が鮮やかに解き明かしていくので驚いてしまった・・・。

いわゆる「安楽椅子探偵」である。主人公は、就職浪人中の若者・大輔。当然ながら大輔がワトスン役となる。そしてホームズ役は、古書店の店主なのだが、入院中なので大輔の話だけで、謎を解き明かすのだ。

夏目漱石全集、太宰治「晩年」初版本など、古書の意外な事実や、その古書自身が持つ秘密や事件を解き明かす連作短編風なのだが、最後に仕掛けがある。単なるライトミステリーではないのだ。

しかし驚いたのは、「せどり屋」が登場することだ。「せどり屋」とは、古本を安く仕入れて転売することで、利ざやを稼ぐ商売人にことだ。我が輩はこの「せどり屋」と今年遭遇したばかりで、日記にも書いたのだが、なるほど昔から居たようだ。

今まで古本屋を題材にした小説は読んだ覚えがないので、この「せどり屋」は知らなかったのだが、この小説を読むと、今でもかなり結びつきは強いようだ。しかしこの商売も、BOOK-OFFとネットオークションの影響で、目利き不要の世界になりそうだわな。

話を戻すと、この小説はミステリーとしても良くできている。いわゆる「日常の謎」系列のお話だと読んでいると、最後に騙される。が、せっかくユニークな設定とキャラで読ませているのに、1回しか使えないトリックだったので、連作にするにはチョイと難しいかな。

ま~とにかく取っつきやすく、読みやすく、後味もよろしいライトミステリーでしたな。