恩田陸「クレオパトラの夢」★★★

『MAZE』で初登場した頭脳明晰にして容姿端麗のオカマ「神原恵弥」が主人公のミステリィ。不倫相手を追いかけて北海道で暮らす双子の妹を連れ戻すため、「恵弥」は北海道へ飛ぶ。しかし本当の目的は「クレオパトラ」を探すため。ところが妹の不倫相手は突然死に、「クレオパトラ」を巡って様々な人物が暗躍を始め、妹まで行方不明になってしまう。「クレオパトラ」の正体とは?なぜ皆が捜し求めるのか?妹は見つかるのか?最後まで飽きさせないストーリー展開で、一気に読ませてしまう良質のエンターテイメント。 シリーズ前作『MAZE』ほどスケールが大きいわけではないが、北海道の歴史を踏まえた謎を核に、「神原恵弥」という魅力的なキャラクターをフルに活用した「キャラもの」でもある。
それにしてもイロイロなところで言われているように、明らかに函館のことを「H市」、五稜郭のことを「G稜郭」という表現は酷い。恩田陸の小説にはよくこのような表現が出てくるのだが、これだけはカンベンしてもらいたいのものである。町並みの様子がやたらリアルに書き込んであるので、余計に目立ってしまう。
なにはともあれ、多作の恩田陸の小説群の中では、幻想的な雰囲気は無いのだが、スリリングな展開と魅力的な謎を楽しめる、お薦め作品なのである。もっとこのシリーズを読みたいものだ。