シミタツだそうである。1991年の「このミス」1位なのである。で、「日本冒険小説協会大賞」の受賞作でもある。と、言っても私は今まで知らなかったのだが、チョット古いが読めば分かる冒険小説の名作。
名門女子高の先生が、女生徒と恋愛した挙句追放されて十数年。失踪した塾の教え子を捜しに東京へ戻ると、元の学園がその失踪に関係していた。過去を清算するため、男は孤独な闘いに挑むのだった、というお話。
プロットは巧みなハードボイルド調なのだが、志水節と言われる濃密な文体で、元夫婦の切ない再会と感傷を、見事にというかドラマチックにというか思い入れたっぷりに表現している。巻末の解説者は「これは夫婦小説」とまで言ってるぐらいなのである。ま~古傷を抱えているといってもフツーの中年教師が、なんで命をかけてまで独自の正義感やら美学にこだわるのか、というくらいに濃いドラマに仕立てているのだ。とはいっても、基本はミステリィであり、謎が謎をよぶ緊迫感の中でラストの真相に迫っていくので、一気に読めてしまう。やはりお勧めの快作といえるのだ。