ご存知「恩田陸」の傑作シリーズである『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』『黒と茶の幻想』に繋がるのが、この『黄昏の百合の骨』である。この『三月シリーズ』の作品同士は複雑な相関関係にあり、単純に続編関係ではない。もっともこの『黄昏の百合の骨』はお話としては独立性が高く、他の一連の作品を読まなくとも楽しむことはできる。
ところでこの本は、『麦の海に沈む果実』の続編という位置づけ。学園を出て行った高校生の理瀬は、祖母の遺言により以前住んでいたことがある洋館に住むことになった。百合の花が絶えることがないそのお屋敷は「魔女の家」と呼ばれており、優雅に暮らす美貌の叔母二人が住んでいた。祖母の一周忌に従兄弟が二人帰ってきたのだが、屋敷の周辺では動物の毒殺や友人の失踪など不吉な出来事が起こる。孤独な理瀬は一人で闘いを始めるのだが・・・
相変わらず耽美な「恩田ワールド」の世界を堪能できる作品である。思わせぶりなプロローグ、妖しげな洋館、性格がまったく正反対の叔母達、純粋さと残酷さ併せ持つ老成した女子高生の理瀬、魅力的な男の子達。役者や道具立てはそろっており、一気に読めるミステリィである。
なのだが、ストーリーの展開が・・というか、ラストでこれか?という感じ。ちょっと無茶。なんかラストにどんでん返ししなければミステリィでない、という強迫観念から強引に持ち込んだ感じがしたのだが。ま~好みですかね。このあたりは。我輩としてはこのラストがなければもっと余韻が残り、好印象だったのだが、残念。この妖艶で残酷さを持つ個性的な世界観がある『三月シリーズ』の、次なる展開にに期待をしましょう。