世界最古の会社は日本にあり、なんと創業1400年だそうである。また、世界の中で100年以上続いている老舗の商店や企業の大半は日本にあるのだそうだ。なぜ日本にだけ老舗企業が生き残ることができたのか。その謎を解き明かそうとして、日本各地にある老舗企業を訪ね、ルポした記録が本書でなのである。
ごく最近、NHKでほとんど同じ内容の番組を放送していたので、結構話題にはなっているようである。確かに日本にいると、創業100年や200年の企業はザラにあるので、特に珍しくは感じていなかった。しかし外国にはほとんど存在していないと言われると、やはり日本は特異な文化であり、かつ貴重な文明であることに気がつかされる。サミュエル・ハンチントンの名著「文明の衝突」の中で、現存する8つの世界文明の中でも、日本文明は孤立して特異な文明である、と述べていたが、こんなところに例証があったようだ。
内容は、ま~日経ビジネスの企業レポートによくあるような内容で、老舗企業に共通する長寿の秘訣とかのような核心に迫る分析があるわけではない。『ケータイの心臓部に込められた千年技術』とかオビにあるが、よく日経××の雑誌で取り上げられているような内容なので、目新しさがあるわけではない。しかしこのレポートの特徴は、取り上げた企業がすべて100年以上の老舗企業ばかり、という視点がなかなかの新鮮なのである。
それにしても、グローバル化を旗印に、経営の効率化を推し進め、短期利益に血道をあげている現代企業の経営者達に、このような長寿の老舗企業経営者の爪の垢でも煎じてあげたくなった。企業は株主のものと言い切り、そこで働く従業員を無視し、企業を金儲けの手段としか見ないような風潮が今はある。それらとは一線を隔した老舗企業達には、これからも末永く頑張っていただきたいものである。