古都奈良を旅するロードノベル。消息を絶った異母兄弟を、その恋人と共に捜す旅に出る、二人の女の奇妙な旅。早春の奈良路を藤原京跡、明日香と、旅が進むにつれて意外な事実が明かされていく。
異母の兄とその恋人、女友達との三角関係、妹なので傍観者だったはずが次第にその人間模様に巻き込まれていく様は、なかなか読ませる。しかしミステリーといえるほどの謎もなく、トラウマを抱えた男を巡って女達がそれぞれの思惑で語り、行動していく。傑作「黒と茶の幻想」の二番煎じか!と思わせる展開だが、柳の下にドジョウは二匹もいなかった。ミステリアスな雰囲気も無く、最後まで中途半端な感じが否めない。どちらかというと、奈良の観光地を巡る紀行文として読むべき本であった。どうも恩田陸の小説は、アタリとハズレのムラが多い。ま~多作なのでしかたがないか。