児童文学の新鋭「森絵都」(そういえば昨年直木賞を受賞していた)が、初めて大人向けの雑誌に書いた小説がこの本。今までにはYA向けの「つきのふね」などがある。この小説は、どこにでもいそうなフツーの女の子がヒロインで、小学校3年生から高校3年生までのリアルな生活を描いた連作集なのだ。
ま~何というか、特に事件があるわけでなく、個々のエピソードは女の子にはよくありがちな話ばかり。それをつないだだけと言っては実も蓋も無いのだが、これが意外と面白いのだ。恐らく女性にとってはよりリアルで、身につまされる話ばかりなのだろう。実際、女性にはかなり支持されているようで、ベストセラーにもなっている。Webの書評においても、このヒロイン像は女性からは圧倒的人気があり、そこは男性にはなかなか分かりづらいところだ。北村薫が描く女子大生のような、男性作家の描くヒロインとはやはりどこか異なり、同じような恋や家族との確執に悩んだりしても、森絵都の描くヒロインは、フツーの女性にとって等身大の姿に映り、感情移入し易いのだろう。友人との喧嘩、恋への憧れ、とんでもない失恋、家族不和などなど、ありがちなエピソードに対するヒロインの対応や感情の「ゆれ」に対して、納得感を持てるかどうかでこの小説に対する評価が決まるのだ。その意味においては女性にお薦めの本なのである。