怪作「つっこみ力」の著者の、デビュー作である。「反」社会学と銘打ち、お笑いエンターテイメント風を装っているが、意外とまっとうな社会学の本である。
社会学系の新書はなかなかユニークな見解が多く、我輩もけっこう楽しませてもらっている。ベストセラー「人は見た目が9割」、流行語にもなった「下流社会」、現代の名著「動物化するポストモダン」、などなど・・・。こう並べると数年前の新書ブームは、読みやすい社会学が中心だったことがわかる。ところでこの「反社会学講座」は2004年発行なので、ほぼ同時代に出ているようだ。しかし一般書だったため、この新書ブームに乗り遅れたようで、一部では評判になったようだが、世間ではというか我輩はまったく気がつかなかった。
ま~それにしても社会学という学問?が、インチキくさいしろもんだということは薄々気がついていた。しかし『社会学とは非科学的学問である』と、はっきりと言い切ってしまうのもどうかな~と。とにかく社会という実態が非常にあやふやなものに対して、特定の切り口で切り取り、単純化した見解だけで一方的に社会を見るのが「社会学」だ、というの実感として良く理解できる。様々なアンケートや統計数値を用いてはいるが、自分の都合の良い数字だけ拾ってグラフ化して、さも自分の見解が数字的裏づけがあるかごとく披露しているのが「社会学系新書」なのは周知の事実。それにしても、いかに自分の見解がユニークで画期的なのか、だけが本の価値になることを良く知っている著者ばかりなので、とにかく他人と違う意見や見方で社会を分析しているのが社会学の学者なのであろう。
この「パオロ・マッツァリーノ」というふざけた名前の著者は、『社会学者の個人的な偏見をヘリクツで理論化したもの、それが社会学です』と、まとめている。自らを『戯作者』と称し、社会学者から一歩離れた立場で批判をしているが、この本を読んで怒るような人がいたら、まさに著者の思うツボなのだ。統計学を持ち出して読者を目くらまそうとしている社会学者に対しては、この著者の指摘するような「つっこみ力」を駆使し、騙されてはいけないのである。とにかく笑える社会学講座なので、お薦めなのである。