色とりどりの夢のような異空間へ運んでくれる掌篇集。17篇のショートストーリーが美しい日本語で次々と語られていく。アラビアンナイトになぞらい、海辺に住む男が不思議な話を聞かせてくれる女達を募り、様々な女性が自らのミステリアスな体験を語る趣向なのだ。
緑の虫を飲み込んだ女の話、アラビアで買ってきた硝子ビンの砂絵の駱駝が歩く話、河童の一族と恋愛した女の話・・・。美しい挿絵とともに静かに語られていく、現実とも夢とも区別できない不可思議でミステリアスなお話たち。小説の原型が「物語」であったことを、あらためて思い出させてくれる小品なのだ。