いや~大傑作のハードSF超大作である!なんだなあ、最近の日本にもこんな読み応えのあるハードSFがあったではないか・・・。我輩は久々に興奮して読んでしまった。(全4巻の2巻までしか読んでないのだが、この時点で3,4巻は未発売)ちょっと前に、近年のSFは小粒ばかりで読むべきものがあまり無い、などと書いたが間違いでした。ハイ、知らなかっただけでした。反省 □\(.. )
渡り鳥の異常行動を、ロボット鳥で観察し報告する動物学者のプロローグから始まり、一転して国際宇宙ステーションの事故から地球の命運を左右する凶変が幕開けする。のっけから傑作を期待できるワクワクする始まり方ですな~。フィールドでの動物学者のリアルな行動や、いかにもありそうなテクノロジーの数々。い~ですな~。やはりSFにはガジェットの存在感は重要ですな。宇宙ステーションやシャトルの構造、描写がリアルなのは現代なら当然なのだが、チーム編成や作業方法などまで納得感が高く、いかにも科学者が考えそうな計画の説明があり、素晴らしい構想力なのだ。脱帽!
2巻までは、動物達の異常行動がやがて高度な知性化に進み、地球外生命体とのファーストコンタクトものにまで発展していくのだ。かなり昔から、SFの主要なテーマとしてファーストコンタクトものがあるが、それら膨大な作品群と比較しても新鮮で緻密なアイデアである。このアイデアを読むだけでも、この大長編に出会った価値があるというものだ。まだ前半だけしか読んでいないが、かなり大風呂敷を広げているので、どうやってラストまでたどりつけようとしているのかはまだ不明。お得意と思われる東南アジアのジャングルや生態系の生き生きとした描写。科学者達のネットワークやメールを駆使した議論方法。国際政治や軍事活動における行動パターン。どこまでが事実でどこまでが想像力なのか、区別できないほどの説得力ある描写なのだ。
お恥ずかしいことに、今まで谷甲州という作家に対する我輩の認識は、「日本沈没」で小松左京と共作した作家、というレベルでしかなかった。今頃気がついたのだが、「日本沈没」の文章は確かに谷甲州の文章だ。小松左京の傍点と強調のやたら多い熱い文章ではなかった。しかし、膨大な情報を元に広大な構想を組み立てる力量は、小松左京そのものだと感じていた。この「パンドラ」は小松左京の大傑作「継ぐのは誰か」に匹敵するアイデアと構想力がある。後半に期待したい。