廻船問屋兼薬種問屋の心優しき若旦那とそこに住む妖(あやかし)たちが、花のお江戸で起こる事件を解決する「しゃばけ」シリーズの第四弾なのだ。今日も「元気に」寝込んでいる病弱若旦那は、鋭い頭脳で不思議な事件に立ち向かう。今回は、あらゆる人や妖怪からも忌み嫌われる哀しい妖怪「こわい」の話。塗り壁のような厚化粧がやめられない娘の心を解きほぐす「畳紙」。若旦那が五歳の時の活躍を描いた「ありんすこく」。仲間と離れてしまったかわいい妖怪の大冒険「おまけのこ」の五編が入っている。
安定した人気を誇るシリーズものだが、マンネリからの脱却を目指し、今回は趣向を変えて新鮮さを打ち出している。ま~ホノボノさを身上とするシリーズものなので、多少マンネリでもかまわないのだが、これがなかなか視点が変わって面白い。可愛らしい妖怪の活躍とホノボノした人情話の中に、人の心の微妙なアヤを入れ込む筆づかいが楽しめる、純粋な娯楽作品である。