今年話題の新書であり、我輩にとっても今年初の新書なのだ。宗教関連の本は興味があっても、特定の宗教に偏った本ばかりのために、なかなか手に取る気になれなかった。比較的客観的に書かれた仏教やキリスト教関連の本なら星の数ほどあるが、目新しい観点の本に出合えることもめったには無い。まして「新宗教」を取り上げた本の場合、極端な賛美か罵倒のどちらかというとんでもなく偏向した書き方が普通の感覚のようだ。ということで、今まで宗教関連の本でお薦めしたくなるような本は無かったのが正直な感想。
しかし、この「日本の10大新宗教」は、日本で活動している「新宗教」を10ほど取り上げ、その生い立ち・歴史・特徴・活動内容までを、実に客観的かつ平易に記述した、言わば新宗教の入門書なのだ。しかも、近代の日本の宗教を俯瞰することにより、日本人の宗教観や精神構造まで解き明かそうとする稀有な本なのである。
ここで紹介している「新」宗教は、創価学会・立正佼成会・真如苑・PL教団・大本・天理教・生長の家・霊友会・世界救世教・真光などなど。それにしても日本には様々な宗教があるものだと感心してしまったのだが、意外なことは「新」宗教といっても大半は既存の宗教から派生してきたことだ。ま~いくら「新宗教」といったところで、教祖は一人なので教義や神様にそれほどバリエーションがあるわけではないだろうし、広く信者を募ろうとするなら、あまり突飛なことを言うわけにはいかないのであろう。
この本は、宗教に多少でも興味があるなら読み通せるだろうが、客観的事実の羅列が多く、裏話や豊富なエピソードがあるわけではないので、読んでいて退屈することが多々あった。ま~宗教をテーマに出版しようとすると、様々な圧力があるだろうし、エピソードを面白おかしく取り上げたのでは客観性に問題が出ると考えたのであろう。なので、読み物としては決して面白いものではないが、知っていそうで知らない宗教の世界を垣間見るにはなかなか手ごろな入門書なのである。