1997年小説すばる新人賞受賞作。ずいぶん前に『ハード・ボイルド・エッグ』を読んでいたのだが、情けないことに解説を読むまで同じ作家だとは気がつかなかった。ま~集英社が小説すばる新人賞のキャンペーンをやらなければ、手に取るようなこともなかっただろう。とは言え、この荻原という作家は近年いろいろと注目されているようなので、気になってはいたのだが。
サリンジャーの著名な青春小説をパクッた題名のこの作品は、青春小説とは程遠いユーモア小説なのだ。住民が300人しか住んでいない超過疎地・牛穴村の青年団が、倒産寸前の広告会社と手を組んで、起死回生の村おこし大作戦を始めた。ところがそのとんでもない作戦は、意外な結末に・・・。
我輩はユーモア小説はわりと好きな方なのだ。あの奥田英朗の怪作『空中ブランコ』なども大いに気に入っている。が、この『オロロ畑でつかまえて』のユーモア感覚には、若干違和感があった。それは、田舎そのものをダイレクトにバカにしている感じがするのがよろしくない。ま~ユーモア小説なので、何かしらバカにするしかないのだが、風刺するなら田舎から見た都会人をバカにするべきなのだ。ここらは趣味や感性の違いなので、好みでしかないのだろうが、権威とか権力者を風刺するから溜飲が下がるのであって、弱者をバカにしたらただのブラックでしかない。ただこの小説全体としては、マスメディアに翻弄される現代社会そのものに対して嘲笑しているのだろうが。何はともあれ、下ネタも使わずにユーモア小説で新人賞を狙ったのだから大したもんなのである。