またまたマイブーム中の「米澤穂信」なのだ。これまで『青春ミステリィ日常の謎派』一辺倒だとばっかり思っていたのだが、今回は何と探偵が主役。ライトノベルの『古典部シリーズ』や『春季限定いちごタルト事件』、『さよなら妖精』など、今までは高校生が主人公の学園物ばかりだった。しかし今回は25歳で犬探しが専門とはいえ、私立探偵が主役なのだからビックリ。しかも今回は殺人まで絡むので、従来のポリシー(と我輩が勝手に思っていたのだが)は、どこへやら・・・。
病気が原因で失業し、犬探し専門が希望で開業した調査事務所。ところがいきなり舞い込んだ依頼が、失踪人探しに古文書の解読。行きがかり上2つを並行して調査していたところ、なぜかこの2つが絡み始め・・・。
この『犬はどこだ』は、宝島社の2006年版「このミステリーがすごい!」で8位と、初めてベストテン入りした作品なのだ。2007年版の「このミス」でも『夏季限定トロピカルパフェ事件』が10位と検討しているので、次第に米澤の実力が認められているようだ。この作品のナカナカ特徴的なところは、探偵が2人出てくるところである。主人公である紺屋と、その後輩のハンペーというまったく性格の異なる2人が、それぞれ「私」と「俺」の独白で語るスタイルをとっている。さらに古文書が出てきたり、チャットをしたりと、様々な文体を使い分けているのもユニーク。米澤お決まりの、ラストの大どんでん返し後の後味が、意外に重いのも特徴的と言える。従来の学園物と比べると、いろいろと工夫を凝らしているのだ。学園物を期待していた米澤ファンにとっても、決して期待を裏切らないハイレベルのミステリィなのである。