1985年に『放課後』でデビュー、2006年に直木賞を受賞してブームにもなった東野圭吾である。最近は『探偵ガリレオ』がTVドラマ化もされていた。人気があるようだ。解説によると本格推理小説の代表作が、この『名探偵の掟』なのだそうだ。この解説を先に読んで購入してしまったのが、我輩にとって敗因である。最近読んだ本で★★★が多いのは、別に安直に付けている訳ではなく、購入時にそれなりに選んでしまっているからなのだ。ミステリーに『★』と付けたのは、めったにないこと。つまりこの作品は、我輩の趣味に珍しくまったく合わなかったのだ。
ちまたには星の数ほどミステリーがあるが、登場人物はどれも名探偵にボンクラ警部。お話も密室殺人、童謡殺人、ダイイングメッセージにアリバイトリックなど、お約束の数々がある。ところがこの作品は、作中の登場人物に、これらお約束事が如何に不自然であるかを語らせ、ミステリーの『掟』をことごとく笑いのめしているのである。いわば「メタ小説」の形式で、登場人物が読者に話しかけてくるのだ。結局このような形式をユーモアととらえるのかどうかが、この作品の評価の分かれ目なのであろう。せっかく様々な12もの新しいトリックを創りながら、何か安物のパロディ小説を読まされているようで我輩は楽しめなかった。それにしてもこの解説者は、本気でこの『名探偵の掟』を代表作と言っているのだろうか?