う~む、実は★★のはずだったのだが・・・。最近「たっぷり笑えて、しみじみ泣ける」と評判らしい、荻原浩のユーモア小説なのだ。
元・大衆演劇の役者一家。父・清太郎が家族全員を巻き込んで始めたのは、レンタル家族派遣業という妖しげなビジネス。失敗を重ね、借金はかさみ、家族はケンカばかりで崩壊は目前。しかし、かつてのよしみで旅回りの一座に加わることになったのだが・・・。酒乱で無計画な父親、フィギアオタクの長男、19歳で子持ちの長女、体はでかいが頭の弱い次男。元マドンナの母親。一家6名の運命はさらに翻弄されていくのだった。
大部分は、次男である「ぼく」の一人称で語られるお話なのだ。無邪気な語り口で、父親や大人達のえげつない行動を描いているところが、新鮮で面白い。ユーモア小説は、トンデモ行動をする中心キャラクターがいて、そのキャラが起こす騒動を描く場合が大半。しかしこの『母恋旅烏(ハハコイタビガラス)』の登場人物は、大半が異様に濃いキャラの持ち主ばかり。なので、引き起こすドタバタもかなりなもんである。最後までこんな調子だったら我輩の趣味外だったなのだが、ラストになってやっと、お泪頂戴の人情劇になった。この部分がなかったら作品の価値が半減だったのだが、ま~それでも我輩としては、★★★でした。