大人気『しゃばけ』シリーズの作家が、初めて書いたファンタスティックな現代ミステリーなのだ。母子家庭に住む、過呼吸の発作を時々起こす中学生が主人公。親友が目の前の火事で焼死してしまい、途方にくれていたら、なんと死んだはずの親友が、ケータイからこの不審火を調べて欲しいと語りかけてきた。死んだ親友に助けられ、真相を探り始めると、次々と魔の手が襲ってくるのだった。
と、ま~最初は『しゃばけ』のようなファンタジーなミステリーかなと思っていたら、後半になると一転して医学ミステリー風になってくる。病弱な少年が主人公、両親との関係もビミョーと、道具立ては『YAもの』というか『あさのあつこ』風なのだが、畠中恵にしては意外なほどサスペンス的展開に驚かされてしまう。特に病院が主要な舞台となる後半は、ホラー風な雰囲気も漂わせ、大人向けの作品として十分読ませる力作になっている。
デザインやオビ、小説の導入部などが何となくYA風なので、大人の読者は手を出しづらい本に見える。しかし、内容は意外に重いテーマを内包した現代小説なのだ。畠中恵のファンタジーという先入観が無い方が、かえって読まれるような小説であった。