『しゃばけ』シリーズで有名な畠中恵の、現代小説の連作短編集なのだ。畠中には他にも『百万の手』という、気合の入った現代ミステリィもあるが、これらとはかなり毛色が変わったファンタジックなミステリィである。
常連の客しか入ることを許されない地下にある酒場が舞台。ひねた性格だが武闘派で世話好きの店長がいるこの店には、毎晩曲者の常連客が集まってくる。そこに持ち込まれた「とっても不幸な幸運」という名のいわくつきの缶。その缶を開けると、毎回不思議な幻影が現れ、その缶を開けた人には「災い」か「幸せ」が・・・。
毎晩常連客で集う酒場は、ある意味理想的な酒場なのだが、そこで繰り広げられる6つのドラマ。きっかけはどこからか持ち込まれる「とっても不幸な幸運」という缶というのがユニーク。連作短編になってるので、店長や常連客の過去が1話毎に明かされていき、最後はなかなか味のある読後感を残してくれるお話なのだ。ほのぼのとした読後感を求める読者に、肩肘の張らないお話が好きな読者に、適度な短編集なのであった。