『氷菓』『愚者のエンドロール』に続く、待望の古典部シリーズ第三弾。学園青春ミステリィの快作を連発する著者だが、今回もおなじみのメンバーが、賑わう学園祭で起きた連続盗難事件を解決していくお話なのだ。
奉太郎の通う高校の最大のイベントである文化祭『カンヤ祭』が始まった。奉太郎の所属する『古典部』も参加することになったが、大問題が発生。文集が手違いで大量に印刷されてしてしまったのだ。奉太郎たちが困っていると、学園祭で奇妙な盗難事件が勃発。碁石、タロットカード、水鉄砲が連続して盗まれていたのだ。そこでこの事件を解決して、古典部の知名度を飛躍的に上げ、文集の完売を目指すことになった・・・のだが。
いや~いいですな、この文化祭の雰囲気。ワクワクしつつも延々と準備をし、待ちに待った当日は騒々しくも、それこそあっという間に終わっていまうのが常だった。そういえば学園祭からの単純な連想なのだが、高橋留美子の傑作コメディ『うる星やつら』の劇場アニメ版『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(押井守の原点であり出世作だったな~)も、学園祭が主役だった。永遠に繰り返される学園祭の前日。永久にくることの無い、奇妙な夢の中の学園祭・・・。
閑話休題。まったくの脇道でした。その学園ものの王道である学園祭を主役に据え、そこで起こる奇妙な事件を、古典部の宣伝に使ってしまおうという素敵な魂胆。たった3日間での出来事だが、今回は古典部の各メンバーの視点で語られるので、それぞれの思いや内面が掘り下げられ、なかなか読み応えがあったのだ。ミステリィとしての謎そのものはいささか弱いが、ラストはお決まりのドンデン返しもあり、充分楽しめる。殺人事件の起きないミステリィとして、中学生から昔は学生だったはずの大人まで、我輩お勧めの青春小説なのである。