『月の扉』『水の迷宮』と、魅惑的なミステリーを書いている石持浅海だが、この『扉は閉ざされたまま』で2005年「このミス」2位に選ばれ、ベストセラーとなっている。
大学の同窓会で、7人の友人たちが豪華なペンションに集まった。伏見は入念な計画で完璧な密室をつくり、事故を装って後輩を殺害。犯行は成功したかに見えたが、優佳だけが疑問を抱く。閉ざされた扉を前に、部屋の中の状況を推理して、開けさせようとする優佳と、開けさせまいとする伏見の、息詰まる頭脳戦が続く・・・。
この作品は、冒頭で犯行の様子が描かれる、いわゆる倒叙ミステリーなのだが、作者の作品の特徴である「理詰め会話」が顕著になっている。人の行動すべてに一つ一つ理由付けし、推理を積み重ねていくスタイルで、ストーリーが進んでいくのだ。犯人役と徹底的にロジカルな会話・議論をこなすことで、探偵役・優佳の推理の冴えが光ってくる仕掛けなのだ。犯行方法そのものは、最初の段階で大半が分かってしまっているので、謎の中心はなぜ犯人は扉を開けさせないことにこだわるのか、になる。この謎の答えや動機にはいろいろと議論があるようだが、ま~この部分がこのミステリーで、最もユニークで斬新なところなのだ。
万人にお勧めできるミステリーと言うわけではないが、理詰めの議論がお好みの読者には喜んでくれるはずである。