「帰ってきたアルバイト探偵」以来、2年ぶりの大沢ハードボイルド。この「流れ星の冬」は1994年発刊で、我輩が読んだのはなんと第20刷というロングセラーなのだ。
大沢/京極/宮部の3大人気作家の中で、最も読んだ本が少ないのがこの大沢。京極はほぼ全作品を読破。宮部も初期のころは全部読んでいたのだが、最近のベストセラーは何となく手が出なくなった。大沢は「新宿鮫」の初期の作品と、「アルバイト探偵シリーズ」程度しか読んでいない。よ~するに最近は、どうせハードボイルドのエンタメなら軽め!と決めているのだ。ホントは『原尞』や『矢作俊彦』の、やたらクールなハードボイルドも大好きなのだが、やたら重く複雑なプロットに、そろそろ飽きがきたのが本音。
ということで、この「流れ星の冬」を手にした理由というのは、主人公が65歳の年寄りという大胆な設定だから。これならワンパターンのハードボイルドになるはずもなく、それほど深刻な話にもならずに、純粋に娯楽小説として楽しめそうだと思ったのだ。ま~結果としても、期待通りなのであった。
平穏で優雅な独身生活を過ごしていた大学教授・葉山は、突然トラブルに巻き込まれる。原因は40年前の仕事が原因だった。葉山は実は強盗団の一味だったのだ。男の誇りを賭け、再び銃を手に取った葉山は、巨大な敵に立ち向かっていく・・・。
粗筋だけだとフツーのハードボイルドだが、65歳の大学教授が主人公というのがミソ。ハードボイルドの主人公といえば、口数が少なくタフで行動力がある私立探偵、と相場は決まっているのだが、今更これではあまりにワンパターンすぎるのだ。最近では、主人公が車椅子に乗った障害者だったり、平凡な家庭の主婦が実はゴルゴ13ばりのスナイパーだったりする無茶なお話もあるので、年寄りが主人公ぐらいで驚いてはだめなのだ。ま~年寄りなので、無謀な格闘シーンも無く、当然銃と頭脳だけで立ち向かうしかないので、全体に軽快に読めてしまうのだ。ちょっと変則的なハードボイルドを楽しみたい人にはお薦めです。