年をとると、なぜ時の経つのが早いのか?という誰でも抱く「時間」に関する素朴な疑問を、分かりやすく解説してくれる良書。物理学や生理学はもちろん、心理学や人類の文化的背景にまで言及して「時」に関する最新の学説を紹介してくれる。
もちろん時間に関して、その様々な謎が今でも全部解き明かされている訳ではない。大昔から多数の研究者が頭を悩ませてきた謎なので、未だにその本質的な問題が解明されてはいない。しかしそれでも最近の脳の知覚に関する研究が進んだ成果から、かなり進歩があったことも事実のようだ。本書では、様々な錯視の例を取り上げ、錯覚から逆に人間の知覚の特性を説明してみせる。
時間に関しての考察となると、どうしても哲学の分野に入り込みがちで、そうなると客観的事実の積み上げのような科学的手法を使わない場合が多いが、ここでは実験データを示すことで、そのような愚を避けている。が、ま~人間には五感はあっても時間を直接感知する器官があるわけではないので、結局心理学からの説明に頼るしかない。それでも知的興味を十分かきたててくれる非常に面白い新書であった。