動物の遺体を解剖し、動物進化の神秘を探る学者が書いた、知的好奇心をかき立てる新書なのだ。「人体 失敗の進化史」という傑作も書いている著者だが、この本は動物の体に焦点を当て、如何に動物の体が驚異的進化を遂げた末に、合理的に構成されているかを熱血あふれる文章で書いている。
ま~それにしても驚くような話ばかり並んでいるのだ。砂漠に生きるヒトコブラクダは、なんと10ヶ月もの間水を飲まなくても生きていける、牛の腸の長さは40mに達する、などなど、教科書には載っていない面白い話ばかりなのだ。この本の良いところは、どうしてそうなっているのか、どのような仕組みになっているのかを分かりやすく解説してくれるところだ。それにしても、動物の進化の歴史を調べる学問も重要な学問だとは思うのだが、あまり人気は無いらしい。このような動物進化の話題はおよそ聞いたことすらなかった。ま~これは、世界的にも研究者の数が少なく、研究対象も扱いづらいのは確か。著者の言うように、動物の遺体は腐りやすく、自然界の動物ならそれこそあっという間に骨になるため、学者は骨しか調べられなかったようだ。
様々な困難を乗り越え、著者は孤軍奮闘しながら日々遺体と格闘しているようだ。いわばこの本は、その戦記とも言える。動物進化を熱く語ってくれるこの本は、たとえ動物にあまり興味が無くとも、十分楽しめる新書なのだ。