デビュー作「オロロ畑でつかまえて」の続編に当たるユーモア小説なのだ。これがなかなか笑わせる、楽しい作品なのだ。やはり荻原浩は「ママの狙撃銃」のようなハードボイルドより、ユーモア路線の方が良いのだ。
倒産寸前の弱小広告代理店に、暴力団がCIを使ったイメージアップ広告を依頼してきた。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。会社の未来と父親としての意地を賭け、杉山は文字通り走りだすのだが・・・。
ヤクザネタのユーモア小説と言えば、浅田次郎「プリズンホテル」に、古くは小林信彦「唐獅子株式会社」が有名。ま~これらはヤクザが主人公なのだが、意外と少ない。ま~我輩が知らないだけだとは思うのだが、ユーモア小説自体の絶対数が少ないのは確かだ。その意味でもこの小説は貴重。しかも単なるユーモア小説でもなく、荻原浩らしく、キチンとお涙も入れた再生の物語になっているところが巧い。つまり、ダメ男の主人公・杉本のキャラがなかなか良く、アル中で離婚し小学生の娘とも別居中なのだが、娘が転がり込んできたために、奮起して再起を図るお話にもなっているのだ。
やはりユーモア小説というものは、いわゆる「笑いと涙」がセットでないとダメだ。「笑い」だけではただの馬鹿話になるし、何も印象に残らない。逆に「お涙頂戴」だけでは我輩の趣味ではないし、エグイ。ま~森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」という例外もあるが、これはユーモア小説とはチョット違う気がする。とにかく小説は、痛快で楽しければ良いのだ。