どの文学賞がエラいのか?芥川賞、直木賞から地方文学賞までを、痛快にメッタ斬りした快作なのだ。元大手出版社の編集者で評論家の大森と、書評家の豊崎二人の対談集。
なんと国内には500を越える文学賞が存在するそうだ。そういえば、文庫ばかり読んでいると、どうしても店頭で手にするのは「XX文学賞受賞作品」であることが多い。ミステリィを読むことが多いので、「江戸川乱歩賞」、「横溝正史ミステリ大賞」、「このミステリーがすごい!大賞」、「メフィスト賞」、「日本推理作家協会賞」・・・等などと出会うことがよくあるが、これらの賞の違いまでは知らなかった。ま~フツーは「芥川賞」と「直木賞」しか知らないもんだ。
あらゆる文学賞は、公募の新人賞か非公募の文学賞に分けられるそうで、有名な賞は大半が出版社の主催だそうだ。ふ~ん、そんなんだ、的な知識もたくさん得られるので、文学賞ガイドとしてお役に立つ。もちろん歴代の受賞作を詳しく紹介しているので、読みたくなる作品を多数見つけることもできたので、非常にお得な評論なのだ。
それにしても、やはり「芥川賞」の裏話が面白い。古老の選考委員達を、世論が読めない連中とか徹底的にバカにし、本当にあげるべき人にあげていないと批判する。芥川賞を左右するのは宮元輝で、テルちゃんが理解できない作品はみな落ちる、とか・・・。確かに、日本で最も売れる作家である村上春樹や村上龍は、この日本で最も有名な新人賞とは無縁だった。よ~するに、力量のある作家を選考委員は見抜く力さえない、と歯に衣着せぬ批判をしているのだ。いや~、出版業界人としては、ここまでバラすかという実に大胆な意見ばかりで非常に面白い。これも、ありとあらゆるジャンルの莫大な量の作品を読み込んでいる二人だからこそ、できる批判なのだ。半端な数の小説しか読んだことがない我輩なんぞ、作品の批評などできるわけがないで、こんなブログに単なる感想しか書けないのだ。とにかく、本好き・本マニアなら読む価値がとても高い文学ガイドなのだ。