謎の競技「ホルモー」にかける青春と恋!!というのが、オビの文句。今年映画化もされた話題作であり、万城目のデビュー作でもあるのだ。これがなかなか面白い。なかなか面白いのだが、このタイミングで読むと、どうしても森見登美彦の作品と比較してしまうのだ。京都を舞台に、ウブで貧乏な京大生が、ばかばかしいことに精を出す、という設定がまったく同じなのではしかたがない。
京都のビンボー大学生の安倍は、「京大青竜会」という怪しげなサークルにノコノコと入ってしまった。そのサークルの女子学生に片思いしたためだが、なぜか「ホルモー」という名の大学対抗合戦にまで出場させられてしまう。祇園祭の宵山で、魑魅魍魎を引き連れて、伝統ある戦いの火蓋は切って落とされたのだった・・・。
ま~ようするに、森見登美彦と同じラブコメ・ファンタジーの世界なのだ。ほとんど同じ世界観の中にあるといってもよいぐらいだ。しかし大きな違いは文体にあり、そうなるとインパクトの差で、圧倒的に森見の方に分がある。ま~「森見文体」と言ってもよいほどの強烈な文体と比較されては、万城目もかわいそうなのだが、ストーリーの割にはちょっと平凡すぎる文体だ。というか、あまりに森見作品と設定が似ているので、大好きな「森見体」を、我が輩が期待しすぎなのかもしれないのだが。
お話そのものは、今時の大学生の生態を活写することで青春小説としての形態を整え、同時に京都という古都を背景に据えることで、違和感無く魑魅魍魎を跋扈させるという、ユニークな娯楽作品となっている。あまり文学的な香りが無いので、純粋なエンタメになってしまっているが、ま~娯楽作品としては充分に楽しめる、バカバカしくもおもしろい青春小説であったのだ。