「空の中」に続く異生物もの。海の中から突如巨大ザリガニが大量に出現し、祭りで賑わう人々に襲いかかってくる、というまるで怪獣映画のようなシーンで始まる。当然、自衛隊が出動し自衛隊と怪獣の手に汗握る戦闘シーンが続くと思いきや、これがまったく違う展開になっていく。岸壁に停泊中の潜水艦に逃げ込んだ多数の少年達と、2名の自衛官の奇妙な共同生活を描くことが中心になり、
軍事マニアらしい有川は、「空の中」では航空自衛隊の戦闘機の詳細を描いていたが、「海の中」では海上自衛隊の潜水艦での生活を描いている。
有川の小説を読んでいると、戦闘などのシーン描写は上手いのに、登場人物の心理描写はやたらくどい。親切に説明しすぎる癖がある。表現力のある作家なら、作中人物の行動や仕草を描写するだけで、その人の微妙な心理状態まで、上手く表現してしまう。しかし有川は登場人物の心の声をそのまま書いたり、直接的に心理状態の解説までしてしまう。