女性を描かせたら当代一流の作家・北村薫が朝日新聞に連載した長編小説である。子供の頃からの友人である、千波・牧子・美々の三人の女性。過酷な運命に翻弄されながらも、流れていく人生の中で、互いに支え合い絆を深めていく、そんなお話なのだ。
相変わらず、まるで古典を読んでいるかのような、端正で美しい文章が続く。前半は、それこそ日常生活の細々とした事柄を、丁寧に描くことで、女性達の生き方や性格を浮き彫りにし、後半は病魔に襲われた千波の葛藤とそれに対する友人達の思いやりが、絆の深さ表している。人が人として生きるために本当に必要なのは、他の人との深い絆ではないのか。それが家族であったり、親友なのだ。そんな作者の思いがストレートに伝わる、友愛がテーマの物語。
全国ネットの女性アナウンサーという花形職場にいながらも、凛とした生き方を貫き、一切の弱みを見せない千波。ガードが堅すぎて図らずも独身を通してきたが、お節介な親友のおかげで、最期の最後に孤独から抜け出すことができた。そんな華やかだが、孤独な女性を中心に、様々な生き方を歩む女性たちの人生を、心優しくたおやかな作品なのだ。