衝撃的で、突き刺さるほどの痛みを伴う青春小説だ。若いミステリィ作家として注目の、米澤穂信の最新刊(文庫)なのである。「氷菓」などの”古典部シリーズ”や「春期限定いちごタルト事件」などの”小市民シリーズ”など、学園ミステリィで、一躍注目されている作家だ。
断崖から墜落したはずの高校生のぼくは、目覚めたら金沢の街にいた。不可解な状況で自宅に戻ると、そこにはいるはずのない姉が住んでいた。自分が生まれていなかった世界に紛れ込んだぼくは、自分が生まれてこなかった世界の方が、状況が上手くいっている事を目の当たりにして、苦悩する。
甘酸っぱさとか、ほろ苦い青春などというレベルの話ではない。血が流れるほど、痛ましい青春を描いている。白岩玄の「野ブタ。をプロデュース」も痛々しかったが、この「ボトルネック」は、さらに絶望的でさえあるのだ。
米澤穂信にしてはミステリィ度は低い。それよりも、自意識の高い若者の、ある種「通過儀礼」ともいえる、「絶望感」を描くことが主眼となっている。
自分自身の存在価値を、無理矢理に確認させられ、しかも無価値であると思い知らされるとは、とてつもなく残酷なことだ。テーマとしては、古典的な文学的テーマなのだが、それを直接的に分かりやすい設定で、米澤はお話にしてしまったのだ。後味は決してよくはなく、好き嫌いが出てしまう作品だとは思う。ナイーブな人には、とてもじゃないが薦められない、読むには覚悟の必要なお話なのだ。