医学ミステリィの傑作「チーム・バチスタの栄光」の続編なのだから、読まないわけにはいかない。期待通りに、今回も同じ桜宮病院を舞台に、ユニークなメンバーが勢ぞろいなのだ。ワトスン役である不定愁訴外来の田口医師に、ホームズ役の性格破綻者・厚生労働省役人の白鳥、初登場の警察庁の切れ者・加納警視正。なぜか全部で600頁なのに、今回も上下巻の分冊で発売なのだ。
今回は、小児科病練に入院中の中学生・端人の父親が惨殺され、天才的歌声を持つ看護婦の小夜と息子の端人が疑われる。死期の近いアル中で伝説の歌姫・冴子とそのマネージャーの城崎は、小夜の歌を磨き挙げることで彼女を救おうとするが・・・。
デビュー作があまりにも面白かったので、二作目は当然のように期待したのだが、さすがに同じレベルは無理だったか。事件が起きるまでに200頁もかかり、このまま小児科病棟での院内描写で終わってしまうのかと思っていたほどだ。しかし上巻の最後になってやっと事件が起こり、一気に話が展開を始める。
相変わらず登場人物のキャラはユニークで、病院内の人間関係も上手く描いているので、医療現場の実態描写だけでも充分読ませてしまうのは凄い。しかも今回は、小説内のガジェットの出来がまた素晴らしく良い。犯行現場を詳細に撮ったデジタル写真から、犯行方法や犯人像まで立体的に構成して表示してしまうDMAだの、Aiだの、なかなかアイデアとしては面白かった。アイデアのベースはSFの古典・広瀬正の「マイナス・ゼロ」の焼き直しなのだが、現代風にアレンジしてあり、如何にも実際にありそうなツールに見せていたのがよい。
逆に言うと、肝心のミステリィ部分は犯人探しでも、犯行方法の謎というものでもなく、せいぜい動機の謎くらい。ま~それにしても犯行方法やその動機に関して、我が輩としては決して納得できるものではなかったのだ。犯行方法の残虐性が高いため、後味も悪く、前作と比べられるレベルでは無いと思う。結論というか、全般的な感想としては、ディティールは面白いのだが、ミステリィとしては今一つなのであった。