人気作家・伊坂の2001年から2005年にかけて発表された4つの物語。表題作は、2009年に映画化もされている。
「動物園のエンジン」そこにいるだけで動物園が活気づく、不思議な男に殺人の疑いがかけられる話。
「サクリファイス」人探しの依頼を受けた黒澤が、辺鄙な山の村で生け贄の儀式に出会う話。
「フィッシュストーリー」無名のロックバンドの曲が、時空を越えて未来に影響を与え、ある人の人生をも変えてしまう。
「ポテチ」空き巣が稼業の青年と、地元プロ野球選手の奇妙な因縁を描く話。
相変わらず、とぼけた会話で不思議な味わいのあるお話を創る作家だ。主人公はどれも変人ばかりで、いわゆる良識ある行動をとらない連中が多い。それでも登場人物に感情移入できるのは、その生きざまに共感できるからだろう。また、この短編集は、伊坂の初期の作品に通じる「軽さ」に溢れており、例え深刻な状況でも、最近の伊坂の作品に多い、「重い」印象にはなっていないのも良い。最近の伊坂幸太郎の重い話が苦手な我輩には、とても安心して読めた短編集であった。