非常に興味深い、面白い、役に立つ、日本語学であった。言語社会学の巨匠が、半世紀に渡る研究の集大成としてまとめた、渾身の日本語講座なのだ。
日本語が英語と比較して、非論理的だとか劣るとかのような、自虐的意見はナンセンスであり、それどころか日本語は世界に誇るべきユニークな大言語なのだ、と言い切る。なかなか威勢が良い。

・世界には約六千種もの多様な言語があるが、その中でも日本語はトップ10に入る、1億2千万人もの利用者がいる屈指の大言語である。
・漢字は、中国式の「音読み」と、本来の日本語読み「訓読み」があったため、音訓二通りの読みが生まれた。
・日本語は、音声を聞くだけで意味が明確になる「ラジオ型言語」ではなく、世界で唯一の文字(漢字)とセットで確定する「TV型言語」である。このため同音異議語が多くても、混乱せずに文明を発達させた。
・言語が違うと、虹は七色でなくなり、リンゴは緑色になるように、文化も異なってくる。
・会話の際に、対決型の欧米言語と異なり、日本語は相手を言葉で直接指すことを極力避け、社会的地位や自分との家族関係を表す言葉を用いている。

大ざっぱに要約すると以上のような内容になっている。漠然と感じていたことや、全く気がついていなかったことなど多々あるが、ここまで明確に「言語」の構造を指摘した本を読んだのは初めてだった。
言われてみれば確かにその通りのことばかり。なぜこんなことが、今まで誰も指摘でなかったのか不思議なくらいなのだ。やはり自国語だけでなく、複数の外国語を十分に理解し、研究できるような人材は、世界的にも非常に少なかったからだろう。やはり研究対象は、比較しないとその特質が明確にならないものだ。

音声と映像が一体化されて初めて認識可能な言語構造、という特異な日本語。そのメリットもデメリットもあるが、地勢学的には極東にある孤立した島国であるのにも関わらず、一大文明を築き上げた原動力に、日本語の力があったことは事実。
著者が主張するように、日本語の国際普及に繋がるかどうかは分からないのだが、これからも日本語で書かれた本を、読み続けていくことに邁進することを、誓ったのであった。

(日本語以外の本を、まともに読めないのが理由なのだが・・・・)