「しゃばけ」シリーズで有名な、畑中恵の新シリーズ。今度もお江戸が舞台。神田の町を治める名主の跡取り息子・麻之助が主人公なのだ。
まだお気楽な若者が、女好きの悪友・清十郎とともに、持ち込まれる争いごとの調停や、難問の解決に勤しむ時代ミステリー短編集なのである。
大人気「しゃばけ」シリーズは、江戸の大店の、利発だがとんでもなく病弱なぼんぼんが、妖(あやかし)と共に事件を解決する、お手軽な江戸ミステリーだった。
それに対して「まんまこと」シリーズは、やはり江戸時代に、町で生じるやっかいなもめ事を、解決する役目の家名主が舞台。このため様々な争い事が持ち込まれることになる。主人公はその家の跡取り・麻之助で、喧嘩もする元気な若者だ。普段は家長である親父さんが調停を務めるが、代役で麻之介が務めることもあり、その若者の成長物語にもなっている。
基本的には、やはりお手軽に読める短編集で、ライトミステリーというよりは人情時代劇の風味が強い。町内のもめ事を、麻之助が人情味豊かに解決する納め方が読みどころ。高田郁の「みをつくし料理帳」シリーズほどジェットコースター的展開はしないので、安心して読めるのだ。マンネリぎみの「まんまこと」より、新鮮であることは確か。「告白」みたいな重い話を読んだ後の口直しに、どうぞ。