巷で評判になり、映画化もされた「鴨川ホルモー」の作者、万城目学(まきめまなぶ・何と本名なのだそうだ)の二作目である。「鴨川ホルモー」は、京都でオニを戦わせる大学生達を描いた、なんとも不思議な青春物語だった。この二作目は、奈良が舞台のやはり奇妙奇天烈な青春ファンタジーなのだ。
研究室を追われ、女子高の非常勤に赴任した「おれ」は、公園で鹿にいきなり話しかけられた。おまえは「運び番」に選ばれたので、京都から「目」を持ってきて欲しいと・・・。
歴史ある京都が持つ妖しい魅力は、鬼の存在も許してしまうが、古都奈良も同様に鹿男や狐女が登場できる風土がある。
ま~それにしても、話が面白くなれば、設定はなんでも良いわけなのだが、古の都・奈良を舞台とすることで、鹿男の屁理屈もつけやすくなり、法螺話が楽しく読めるのだ。
主人公や登場人物達は、「坊ちゃん」を下敷きにした構成で、青春ものの定番である学校が舞台となる。
ほぼ同世代でやはり京都出身の作家・森見登美彦は、ラブコメ小説「夜は短し歩けよ乙女」で、一気に人気作家に上り詰めた。デビュー作が森見作品と同じような設定になってしまった万城目は、常に森見と比較されることになる。しかし二作目は森見の定番「京都の大学生が主役のラブコメ」という同じ土俵には乗らず、奈良の学校の先生を主人公に選んだ。どこまで森見を意識したのかは分からないが、結果的にこれは正解だと思う。森見は人気作家になったためか、いつまで経っても、森見ワールドのワンパターンから抜けられなってしまった。このため朝日新聞の連載小説まで書くほどの有名作家になった割には、最新作「聖なる怠け者の冒険」もそうだが、次第につまらなくなっている。
しかし万城目は、デビュー作以上に、この二作目でユニークな法螺話を提供できた。青春ものの定番であるスポ根的展開に、卑弥呼の謎や考古学の蘊蓄を交え、ファンタジーの味付けとミステリー要素も入れ、なかなかのエンターテイメントぶりを発揮している。
ま~まだ二冊しか読んでいないので、偉そうなことも言えないのだが、今後が楽しみな作家である。