文句なしに面白い!直球ど真ん中の青春スポーツ小説なのだ。警察小説の担い手としての誉田哲也は知っていたのだが、こんな青春ものを書いていたとは知らなかった。とにかく上手い。
武蔵を師と崇める剣道バカの香織は、中学最後の試合で無名の選手・早苗に敗れてしまった。お気楽剣士の早苗と同じ高校に入学した香織は、喧嘩しながらも二人で剣道を極めていく・・・。
いや~いいですな。とにかく痛快で楽しい。女子高生が活躍する典型的なスポ根ものなのだが、読んでいて素直に楽しめ、感動できるのだ。もともと我が輩は青春ものが大好きなので、多種多様な青春小説を読んでいるが、その中でも間違いなくトップクラスなのだ。
そういえば最近、万城目学の「鹿男あをによし」を読んだのだが、やはり女子高生が剣道で活躍する場面がハイライトだった。ま~この「鹿男」の方は、青春ものというわけではなく、変わった伝奇風の小説なのだが・・・。
解説にもあったが、最近はスポーツ小説が急に増えた気がする。野球では、あさのあつこの「バッテリー」を筆頭に、五十嵐貴久「1985年の奇跡」、サッカーなら野沢尚「龍時」、村上龍「悪魔のパス天使のゴール」、(まだツンドク状態で未読だが)佐藤多佳子 「一瞬の風」、森絵都『DIVE!』とか・・・。
昔はスポーツ小説という分野は、ほとんど無かったような気がする。我が輩が知らなかっただけかもしれないのだが。青春小説といえば、自意識ばかり肥大した若者が、ひたすら悩み苦しみ、社会に反発し、淡い恋をする話ばかりだったような。それはそれで良いのだが、健全なるスポ根ものをあまり読んだ覚えがないな~。マンガなら主流なのに。
とにかくこの「武士道シックスティーン」は、キャラがタッテいて良い。昼休みは常に、片手にダンベル、片手に「五輪書」の剣道オタク・香織と、天然ぼけキャラの早苗。二人が交互に語りながら話はドンドン進むのだ。弱小校を主人公が救うワンパターンではなく、最初から強豪校にいて、二人の対決と成長の構図になっているのも良い。ま~とにかく、若者向けというわけでもないので、もと若者の人にもお勧めの、傑作青春スポーツものであった。