大人気・池袋ウエストゲートパーク・シリーズ(IWGP)で、流行作家になった石田衣良のライトミステリィである。
上野アメ横で、冴えない若者四人組が、街を守るためにチームを組んだ。リーダーのアポロ、デブのサモハン、口だけ達者なヤクショ、トロいテンサイ。商店街を悩ます、酔っぱらい、ヤクザ、窃盗団。ガーディアンとなった悩める若者達は、今日も街の安全を維持するために、パトロールをしていた・・・。
う~む、石田衣良にしては健全だ。これなら高校生の男の子にも推薦できそうなほどだ。
池袋に住むタフな若者が、フーゾク最先端の街で、トラブル解決人として活躍する「IWGP」で、石田衣良は一躍メジャーになった。現時点で9巻まで出ているロングセラーだ。その他もセンスの良いシティ派小説を多数上梓し、不動の人気を獲得している。
しかしですよ、この作品は設定もそうだが展開、解決に至るまでの流れが、ほとんどIWGPと同じだ。もちろん池袋と上野の違いや、主役がチームになった点は異なるのだが、事件の内容や暴力団や風俗店など街の状況が同じなので、どうしても比較してしまうのだ。だが、IWGPと最も大きな違いは、その「健全性」にある。
健全な小説が変だ、というのもおかしな話だが、石田衣良のIWGPは最先端の風俗情報を取り入れることで、毎回ドラマを作ってきた。このため、どうしてもエログロの露出する頻度が高く、過激な話に陥りやすい。主人公のマコトも長期のシリーズになるにつれて、次第に強大化する「敵」を粉砕するため、暴力団や警視庁をアゴで使うようになり、ほとんどダイハード並の活躍をするようになってきてしまった。ま~マンガでよくある「パワーのインフレーション現象」に陥ってきているのだ。
人気シリーズを抱える作家としては、新作にますますプレッシャーを感じてしまい、これ以上、実家の果物店で店番しているだけの若者に派手な活躍をさせるのは、あまりに不自然すぎると思ったのかもしれない。もしかしたら、過激になり過ぎたフーゾクネタに飽きたのかもしれない。ま~本当のことは分からないが、マンネリになりかねない人気シリーズからの脱却を図り、手慣れた設定で別シリーズを立ち上げたのだろうか・・・。
IWGPシリーズよりもっと幅広い層の読者を獲得するために、スタイリッシュで派手な解決方法を避け、IWGP愛読者にとっては寸止めしているとしか思えない、欲求不満が残る、実に健全で素朴な結末を用意したように読めてしまうのだ。
この小説は、読者によってかなり評価が異なりそうだな~。IWGPを読んだことがない読者には、素直に心温まるお話として楽しめるはずだし、評価も高いだろう。だがIWGP愛読者には、似たような設定にも関わらず派手な結末がないので、なんとなく肩すかしにあった気分がするのであった。