創元推理短編賞を受賞した、加藤実秋のデビュー作。ホストクラブが舞台のライトミステリーなのだ。今年1月には、昼のTVドラマにもなったようだ。
女性フリーライター高原晶がオーナーの、渋谷の人気ホストクラブ<club indigo>。若者に評判の店だが、次々と事件に巻き込まれる。トラブルを解決するため、個性的なホスト達が夜の街を駆け巡るのだった。
◆インディゴの夜:店の常連客の女が殺された。ストーカーに追い回されていたことを
突き止めた晶たちは、網を張るが・・・。
◆原色の娘:知り合いのお転婆娘の世話を押しつけられた晶は、自宅に泊めてあげることにしたのだが・・・。
◆センター街NPボーイズ:区長の娘の淫行写真をネタに、区長が恐喝され助けを求めてきた。
◆夜を駆る者:ライバル店に引き抜かれたホストが、無惨にも殺された。真相を探ろうとその店に侵入した晶が見たものは・・・。
読んだ感想は、女版の石田依良。池袋ウエストゲートパーク(IWGP)バリの、お洒落な都会派ミステリーだ。現代の風俗情報を取り入れ、手軽に読めるエンターテイメントに仕立ててある。IWGPとか、星の数ほどあるライトミステリーとの差別化が、まず上手い。女性を主人公にし、ホストクラブという先端風俗を舞台に、探偵役を多数のホスト達にしたところがユニーク。しかし筋立てやその展開は、ライトミステリーの王道そのもので、堅実だ。安心して読める。
ま~先端フーゾクといっても、三十路女を主人公にしているので、それほど過激になることもなく、アクションもできるはずもない。ただホストクラブを舞台にしているので、様々な男達を登場させられるのは有利な点。おかげでストーリーをいくらでも膨らませることができる。これはアイデアの勝利だ。これからも上手く書ければ、IWGPなみのロングランも夢ではないだろう。
主人公・晶のキャラがまだはっきりしないが、ま~ここはユニークなホスト達でカバーしているので、許される範囲。これからが期待できる、ライトミステリーの新星であった。