江戸の料理屋で奮闘する女料理人・澪が活躍する「みをつくし料理帖」の第四弾。累計で75万部も売れているそうな。老眼鏡世代に優しい大文字の文庫で登場。ということで、今回のお品書きは、四品。
「ははきぎ飯」大店の娘・美緒の大奥奉公の話が持ち上がり、澪が包丁使いの先生役となったが・・・。

「里の白雪」常連客の戯作者が、澪の幼なじみ・あさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。次第に過去が明らかになってくるあさひ太夫の秘密。
「ひょっとこ温寿司」店を手伝っているおりょうの旦那に、浮気の疑惑が生じ大騒動。
「寒鰆の昆布締め」ライバル店と料理を競うことになった澪は、新作料理に全力をかけるが・・・。

今回もまた、澪の奮闘と恋の行方を主菜に、シリーズを通して、少しづつ明かされる謎が彩りを添えている。このちょい見せしていく「謎」は、長期シリーズ化を狙う常套手段なのだが、それもまた楽しみの一つだ。ま~四作目なので、ある程度水戸黄門的ワンパターンの世界に、陥ってくる頃なのだが、なかなかストーリーに工夫を凝らし、読者を飽きさせない。

畑中恵の代表作でロングセラーである「しゃばけ」シリーズも、初期の頃は主人公の若旦那の出生の秘密で引っ張り、主要な妖怪たちの由来を少しづつ明かすことで、読者を引き留めていた。しかし三・四巻あたりで主要な謎も無くなってしまい、その後はメインキャラの活躍だけのワンパターン世界に陥り、魅力が薄れてきたのも確か。
この「みをつくし料理帖」も、今後どのように展開していくかは分かるはずもないが、次第に謎が減ってきた代わりに、澪の恋の行方や、幼なじみのあさひ太夫を救い出せるか、などの期待で読者を引っ張ろうとしているようだ。

また、このシリーズを華やかに彩る、次から次へと登場する江戸の料理も、季節感が豊富で、相変わらず美味しそう。それにしても、この小説に登場する多数の料理たちは、作者のオリジナルなのだろうか。料理には、とんとシロートな我が輩なので、まったくの想像なのだが、調理法は江戸時代の文献から採用して、粋なネーミングが作者のオリジナルなのだろうな。いや~本の最後にお料理レシピがあるくらいだから、作者・高田郁がすべて創作していたりして・・・。

とうとう四巻目にまでこのシリーズも突入し、今までの少女漫画風ジェットコースター的展開も落ち着き、お話は人情話になりつつある。めでたいことだ。我が輩としては、この方が好みなのだ。澪が次から次へと襲いかかる災難に翻弄される話より、澪を取り巻く人々に対して、澪の持つ優しさや芯の強さで解決を図るお話の方が、遙かに好ましのだ。
これからも、美味しそうな料理と共に、心温まる人情話を食したいと思う、食欲の秋なのであった。