「超高層ビル・建設から解体までの全技術」がサブタイトル。鹿島建設が理系新書の老舗「ブルーバックス」から出版した本である。この地震大国日本で、近年超高層ビルが林立している訳を知りたく、手に取ってみた。内容としては、目次を拾うと、
・超高層ビルの今 ・地震対策 ・風対策 ・構造 ・建設計画 ・建設工事 ・タワークレーン ・設備 ・防火対策 ・メンテナンスとリニューアル ・超高層マンション
となる。
この新書は、超高層ビルの建築技術を、教科書的に網羅しようという、いたってまじめな構成。毎日利用している割には、あまり一般的には知られていない建築技術を、分かりやすく丁寧に図解しながら説明しているのだ。この編集姿勢は、素直に好感がもてた。
今年は、中東のドバイに168階建て高さ828mの、あたかもバベルの塔のような超高層ビルが完成し、浅草には世界一高い電波塔スカイツリーが、まさに建設中だ。世は、超高層建築の時代に突入したようである。
それにしても、この地震大国の日本で、こんなに高層ビルや高層マンションを、たくさん建てて、大丈夫なのだろうか?という素朴な疑問がある。ま~そんな心配を漠然と感じている人たちに向けて、この本が企画されたのは確か。あまり知られることもない、耐震理論や耐震構造を、易しく図解で説明してくれているのだが、これがなかなか興味深い。
また、超高層ビルを建築する際には、風対策や防火対策に工夫を凝らすだけでなく、建築素材や工事用機材まで開発し、さらに土地による様々な規制をクリアするため建築工法まで開発していくのだから大事業になるのは当然だ。
昔々、地下鉄に電車をどうやって入れるのかとか、高層ビルを吊り上げるクレーンは、ビルが完成したらどうやって降ろすのか、考え出すと夜も眠れない、とかいう漫才があった。ま~よーするに、一般庶民は、建築工法などは知る由もない、ということなのだろうな。しかし、少なくともこの本を読めば、超高層ビルの建築工法が分かるだけでなく、安全性の高さも理解することができるのだ。建築業界に無縁だが、超高層ビルに多少とも興味がある人には楽しめるはずである。