青春剣道小説の傑作「武士道シックスティーン」を書いた、誉田哲也がマタマタ出した、痛快青春小説。今度はロックバンドの女性ギタリストが主人公だ。

タレント事務所で働く宮原祐司は、偶然ロックバンド「ペルソナ・パラノイア」の天才ギタリスト夏美と出会う。19歳の彼女は、スカウト話にまったく興味を示さなかった。しかしバンド仲間で敬愛するボーカル薫が、突然の自殺。夏美は自殺の原因を探ろうと、体当たりで疾走し始めるが・・・。

いや~いいですな~。このドライブ感。ムチャクチャ元気で、突っ走りだしたら止まれない夏美。前半は、個性的なメンバー達が集まった、マイナーなロックバンドの活動を、豊富な音楽知識を駆使して描いている。ドジだが純な宮原の目を通して、次第にメジャーになりつつある「ペルソナ・パラノイア」の成長を描いた爽やか青春小説、かと思いきや、突如暗転する。後半は、自殺した薫の故郷を探して疾走する夏美が、薫の過去と真相を引きずりだし、重く深い余韻を残す話に変貌する。

それにしても、誉田の描く少女達は、むやみに元気でキャラが立っている。大好きな「武士道シックスティーン」の主人公もそうだった。それこそ女々しいところがまったくなく、自分の思うままに突き進む信念があり、見てて爽快だ。ま~実際にそんな女の子がいたら、単なるワガママ女子なのかもしれないのだがね。

以前、北村薫の小説の感想でも書いたのだが、やはり男性作家が描く女子の方が、女性作家が描く女子より、はるかに魅力的だ。男性作家が理想の女性を描けるのは、異性の方が想像力の翼を羽ばたけるからなのだろう。逆に女性作家の描く男性像には、違和感を覚える場合がある。あさのあつこが、ひたすら理想の男の子ばかり描いているが、これは単なる作家の趣味だとして、恩田陸の小説に登場する男性に、時々違和感を感じるのは私だけなのだろうか。この違和感を明確に指摘したり説明したりできないので、困ったもんなのだが。ま~女性読者なら、北村薫の小説に登場する女性主人公には、メイッパイ違和感があるだろうし・・・。

とにかく、この「疾風ガール」は一気読みできる痛快青春小説なのだ。お薦めです。