「素粒子物理学で解く宇宙の謎」という副題の、限りなくスケールが大きく、かつとんでもなく小さな世界のお話。
宇宙を形成する最小単位「素粒子」。宇宙誕生直後、極小で高温高圧の火の玉から、現在の宇宙を形成していく膨大な時間の流れも、素粒子の種類やその法則が解明できれば、解き明かせるはず。そんな信念の元、多くの物理学者が莫大な時間と予算を駆使して、宇宙の謎に挑んできた。

この本は、素粒子物理学の基本中の基本を、数式も使わずに易しく解説してくれる、評判の新書なのだ。「宇宙はどう始まったか」、「宇宙はこれからどうなっていくのか」など、人類永遠の疑問に対して、最新の理論を紹介しながら答えていく・・・。

ま~それにしても、素粒子物理学は直感的に理解しづらい概念ばかりだ。ニュートン力学や電磁気学までは、感覚的に受け入れやすいし、学校で学ぶので理解しやすい。しかしその後発展してきた不確定性原理あたりから直感的に受け入れづらくなってくる。電子が原子核の周りを回っているの原子のモデルも、ま~こんなもんかで良いのだが、原子核がさらに素粒子で構成され、さらに多種類の素粒子が見つかると、その構成原理を求めてモデルが構築されていくとなると、なんだかな~~。

我が輩が中学生の頃、物理学が流行ったような記憶がある。我が輩も高校生になると、講談社のブルーバックスから出ていた「特殊相対性理論入門」や不確定性原理の解説本「マックスウェルの悪魔」などを読みあさったもんだ。当時は高度経済成長も華やかりし頃で、科学万能の時代だった。物理学の世界は全盛期で、新発見が相次いでいた。それこそ何でも科学技術が解決できると、みな信じていた時代だった・・・。

たしかそのころから、素粒子の話は読んでいたのだが、この最新であるはずの素粒子論の解説本で、紹介される知識の大半は、20年以上前に解明された話ばかりだ。ま~ニュートン力学から説き起こすのだから、話は長くなるのは当たり前なのだが。やはり、専門家でない人に素粒子を説明するのに、いきなり「クオーク理論」からでは、誰も読まないだろうからな。

最近読んだ機本伸司のSF「スペースプローブ」でも、暗黒物質やニュートリノをネタに使っていた。そういえば、やはり機本伸司の「神様のパズル」に登場する、宇宙シミュレーターが、この新書で実際にあることを知り、ビックリした。数式モデルさえ構築できれば、宇宙誕生からその終焉までシミュレートできるのは、理屈ではそうなのだが、コンピューターの発達により、現実になってきたことは凄いことだ。

しかし素粒子物理学は、数千億円を投じてサイズが30Kmを越える装置がないと、実験すらできなくなるほどの巨大な学問になってしまった。人類の飽くなき探求心は、いったいどこまで続くのだろうか・・・。