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2019年11月「デジタル治療は危険な技術となるか」

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最近の医療分野において、デジタル治療(Digital Therapeutics:DTx)が急速に脚光を浴びてきている。DTxとは、スマホのアプリケーションやIoTディバイスなどで、高血圧や糖尿病、精神神経疾患などの患者に対して、治療介入を行うものだ。2010年にWellDoc社が「Bluestar」という2型糖尿病患者向けの治療補助アプリで、アメリカ政府の医療機器認証機関であるFDAの認証を得たことから注目されるようになってきている。PEAR THERAPEUTICS社のアルコールやコカインの中毒患者を治療するアプリケーションも、既にFDA認証を受けている。日本ではまだ数社程度しかDTxの企業はないが、アメリカでは多数のスタートアップ企業が、この分野で大量の資金を集めて活況に沸いている。

このようなスマホの治療アプリケーションは、患者の行動変容を促すことによって、治療効果を得ているが、人の行動を変化させる技術には、昔から「広告」がある。そして広告媒体も、チラシから新聞、ラジオ、テレビとマス・マーケッティングが発達していったが、近年はインターネット広告が主流になっている。このアドテクノロジーは、SNSが巨大化するとともに変貌を遂げ、マス・マーケットから個人のパーソナリティに合わせたターゲッティング広告へと移ってきた。
そしてアドテクノロジーは政治の世界に応用され、「マイクロターゲッティング」として、大統領選挙に用いられた。ケンブリッジ・アナリティカ社は、Facebookのデータを用いて、計量心理学(psychometrics)を利用した2億2000万人の成人行動モデルを作成した。そしてトランプとクリントンの第3回大統領候補討論会の日、このトランプチームは17万5000通りものオーダーメイド広告を発信したのだ。そしてトランプは大統領に当選する。「アメリカ合州国のすべての成人の、政治思想を含むパーソナリティ情報を割り出した」と豪語するケンブリッジ・アナリティカ社は、トランプ陣営から1500万ドルを受け取った。ケンブリッジ・アナリティカ社は、ブレグジットに関与したとされ、イギリスはEUを離脱した。

行動変容を促すDTxの技術は、パーソナリティデータだけでなく、バイタルデータも使用する。Apple Watch Series 4は心電図を取得できるので、GPSやジャイロセンサーからの情報も利用することで、さらにきめ細かな行動変容を促せることができるだろう。Googleもフィットビット社を買収することで、ますますウェラブル分野に注力してきている。このような巨大プラットフォーマーがデジタルヘルス分野に参入することで、あらゆる個人情報が集約され、スマートフォンに表示される「ニュース」や「広告」は、個人の特性に応じて「編集」されていく。その目的が「治療」なら問題はないかもしれないが、プロパガンダに利用されないという保証はできない。アルゴリズムが生成する「情報」は個人毎に異なり、その真の目的は容易に知ることができないからだ。

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