ティータイム
天馬「長くなったから、ちょいとここで休憩しよう。ティータイムだ。お茶を飲んでくるので、少し待っててくれ」
天馬はそれだけ言うと、さっさと会議室から出て行ってしまった。
猿田くん「あれ、なんか急いでいるね。じゃ、ボクもトイレ」
愛さん「ねえ、伴くん。さっきの天馬先生との意味深なやり取りは何?」
伴くん「なんのことかな?」
愛さん「とぼけないで。マリリンさんが研究室で窓を開けたでしょ。あの時のことよ」
伴くん「ああ、あれか。マリリンが窓を開けた時、まるで窓からの風がここまで流れてくるように感じたので少し驚いたんだよ」
愛さん「ほんとかしら。マリリンさんのブロンドヘアが確かに揺れていたけど」
伴くん「マリリンさんに聞いてみたら?」
愛さん「あらそうね。マリリンさん、聞こえる?」
愛さんは、そのままになっている天馬の講義用パソコンに向かって話しかけた。するとスクリーンは、講義のスライドからマリリンに切り替わった。
マリリン「ハイ、なんでしょうか?」
愛さん「マリリンさんは、天馬先生の研究室でどんなことをしているの?」
マリリン「私は天馬先生の助手です。日本語の勉強をしながら、講義の準備が主な仕事です」
愛さん「ええ、そのようですね。研究のお手伝いはしていないのかしら?」
マリリン「しています。私の教育そのものが研究対象なので、お手伝いをしています」
愛さん「え?どういうこと?」
そこに、天馬が慌てて会議室へ入ってきた。
天馬「ちょっと待った。愛さん、なにをしているんだね」
愛さん「マリリンさんに質問していただけですよ」
天馬「マリリンはまだ日本語の勉強中だから、あまり難しいことは聞かないでくれ。ではさっそく次にいくから、マリリンは資料を準備しておいてくれ。今から僕がスライド操作をすることにするから、この講義からはログアウトして自分の仕事に戻っていいよ」
そこに遅れて猿田くんが部屋に入ってきた。
猿田くん「ひどいなあ先生。ボクを待ってくれないんですか」