Facebook、Amazon、Google、IBM、MicrosoftがAIで歴史的な提携を発表したと、米国時間の9/28に報じられた。世界最大のIT企業であるこの5社が、現時点で世界のAIテクノロジーを牽引していることに間違いはない。今後この5社は頻繁に会合して、AIの進歩を促進するための議論を交わし、AI研究及びベストプラクティスの普及を目指すという。

canstockphoto33994305 今までAIビジネス分野においてもライバル関係にあった各社が、なぜAIに関して協同することになったのだろうか。現時点では、まだ公式発表がされていないので詳細は不明だが、報道によると『現在エンタープライズ部門がAIをコントロールしている。社会全般がAIの利便性を利用できるようになるためには、まずAIが信頼性を確立することが必要だ』とのことだ。

この発言を信頼すると、現在AI技術を牽引しているモチベーションは、あくまで企業側の論理であり企業収益の向上が目的になっている。これではAIによって職場を奪われてしまうと人々が思い始めるので、AIに対する不信感が増大してAIに対する偏見が世界に蔓延してしまうと恐れたからだろう。

では、AIに対する偏見が蔓延すると、なぜAI企業は困るのだろうか?エンドユーザーは直接AIアプリケーションを購入することはない。AIアプリケーションを導入したり利用するのは、あくまで企業だ。企業はAIを利用したアプリケーションで業務を大幅に合理化し、人員を削減するだろう。企業は収益を上げるのが目的なので、社員の希望とは関係なく合理化を進めるのに躊躇はしないからだ。つまり人々がAIに対して不信感を持っても、AI企業の収益には影響しないはず。ではなぜか?

もちろん素直に考えれば、自分たちのやっている仕事のせいで職場が消えてしまったと、世界の人々から恨まれるようになりたくはないからだろう。そうではなくて、人類の進歩に大きく貢献しているのだと、アピールするためのプロパガンダをどうするか相談するため、と普通は考える。

以下は完全に想像なのだが、報道によると面白い発言がある。『偏見が優勢な世界は偏見を含んだデータセットを生み、偏見を含んだデータセットは偏見のあるAIフレームワークを生成する』なかなか示唆に富んだ言い方だ。私はこの発言から、2016年3月に起きたマイクロソフトのAIチャットロボット「Tay」が、人種差別発言を連発した騒動を思い出す。この騒動の内容は以前に書いているのでそちらを参考にしてもらうとして、マイクロソフトは『AIにとって正しい価値観・倫理観とは何か?』という答えのない課題に頭を悩ましていたはずだ。マイクロソフトだけでなくAI企業ならどこでも、不特定多数の人々と会話するAIを開発する場合の、「価値判断基準」に悩んでいるはず。考えられる解決方法としては、ネット上にFacebookやTwitterで溢れている人々の考え方を、ビッグデータとして統計処理すれば、「標準的価値観」になるのではないか、という「理系的」考え方だろう。ディープラーニングは、訓練用の学習データに大きく依存するので、学習データに偏りがあると「過学習」が簡単に起きてしまうからだ。だから「偏見を含んだデータセット」という発言になったのではないだろうか。ま~あくまで私の私見というか想像にすぎないのだが。
とにかく、どんな理由にしろ世界最先端のAI企業が協同することは素晴らしい。これでまた一層AIの進化はスピードアップするはずだ。しかもAIに対する倫理規定などが生まれ、AIを戦争の道具に使うなどとバカなことにも、ブレーキがかかってほしいもんだ。だけど大学の研究費のかなりの部分に軍事費が流れ込むアメリカでは、楽観的過ぎる考えだろうな。