9月6日からNTTレゾナントの「教えて!goo」は、AIが恋愛のお悩みに回答するサービスを始めた。つい先日、「Yahoo!知恵袋」がIBM の「人工知能」Watsonを活用した、恋愛成就の可能性をすぐに答えてくれるサービス「脈ありチェッカーβ」を開始したばかりだ。なぜか最近、AIが回答する恋愛相談所が流行っているようだ。
この「教えて!goo」は、恋愛相談カテゴリーに投稿された質問に、人工知能(AI)の「オシエル」が、過去に投稿したQ&Aから最適な回答を探して回答するというサービス。わざわざ「恋愛系に特化」と明記されてあるのが興味深い。
NTTレゾナントのプレスリリースには、『世界初!AIによる長文回答生成技術』とあり、
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時系列ディープラーニングを質問と回答のマッチングに応用し、「AIによる長文回答生成」に世界で初めて取り組んでいます。
AIによる回答は、以下の手順で生成されます。
(1) 3,000万件以上のQ&Aデータから、使われている単語の意味やQ(質問)と A(回答)の対応関係、A内の文の組合せを、ディープラーニング(深層学習)を用いて学習し、モデル(型)を作る
(2)投稿されたQに対して、上記(1)で学習したモデルを用いて、質問にマッチする「共感」、「結論」、「理由」を含む文を回答集合より抽出、抽出した文を組み合わせて新たにAを生成する
この技術は、NTTレゾナントが独自に開発したものです。人生相談など答えが決まっていない質問に対し、ディープラーニングを用い、複数の文を組み合わせ、自然な回答を生成する技術としては、世界で初となります。今回、その技術を用いて、サービス化を実現しました。
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とある。ディープラーニングRNN(Recurrent neural network)の、Bi-LSTM(Bi-directional Long short-term memory)を使っているようだ。『恋愛相談に特化した単語ベクトルを生成し、単語の持つ意味を多次元で数量的に表現することで、表記のみでは捉えられない暗黙的な意味を表現する』とあるが、これが本当なら凄いこと。3000万件の日本語の文章を、LSTMのような計算量の多い処理をするだけでも、莫大な計算機リソースが必要なはず。しかも回答文は、『質問への共感となる文、結論となる文、例示となる文の3文の組合せを、現在の質問に沿って柔軟に組み替え、新たな回答文書を生成して回答』するのだそうだ。
Yahoo!の「脈ありチェッカーβ」の方は、一般的な自然言語処理で質問を感情分析しているだけで、回答も「脈あり」「脈なし」といたってシンプル。それに比べると、さすが日本語処理のトップNTTだけあって、似たようなサービスでもレベルが違う。それにしても、質問に対してAIが日本語で回答する初のサービスを、恋愛相談に特化させる理由はどこにあったのだろうか。
これは私の想像だが、「回答に正解がない。曖昧な回答でも許される。質問と回答の例が膨大にストック内にあり、前例のない質問がないはずなので、必ず回答例がストック内にある」からではないだろうか。もし正解が一つしかない質問だと、不正解ではAIの面目が丸つぶれになる。しかし恋愛相談なら、たとえテキトーに答えても「苦笑」で終われるので都合がよいのだろう。ま~それでも、まっとうな日本語で答えられるのだから、日本語処理の技術レベルは間違いなく日本のトップレベルだろう。