機械学習と読書の世界

「ITの超速進化と大企業没落の理由」その2 2016年7月

canstockphoto34402423ということで、やっと本論なのだ。

前回我が輩は、日本の大企業特に家電業界の大企業が続々と没落していく原因の一つに、「稟議制度」がある、と書いた。ま~これは社内ルールなので直接の原因ではなく、「判断・決断の遅さ」が根本原因だ。大企業は、何らかの判断・例えば新企画の提案があった場合、多数の役職者がその提案書を吟味する。そして必ずその提案書を「批判」するのだ。提案の背景を良く知った批評なら良いのだが、大半は提案の粗探しとケチをつけるだけだ。
代案も出さずに批判するだけなら簡単なので、それこそバカでもできる。こうしてキラリとしたアイデアの大半がつぶされ、かなりの時間が経ってから無難な提案に変貌してしまった提案がやっと承認される。これが日本の大企業の実態なのだ。

近年、IT業界は急速にその変化速度が上がってきている。従来でも他の業界、例えば鉄鋼や造船などの重厚長大な業界や、化学業界、銀行業界などと比較したらはるかにその進化速度、というか変化速度は速かった。しかし我が輩が肌身で感じている変化の激しさは、従来の比ではないのだ。西暦2000年頃に起きたインターネットブームの時代も、似たようなことがあったが、それよりさらに加速していると思っている。

ま~これは、IT業界に長年棲んでいる我が輩の肌感覚であり、客観的根拠や数値を出せと言われても出せないのだがね。とにかく、現在このIT業界で何が起きているかなのだが、我が輩が今までこのコラムで何度か取り上げている話題「AIブーム」のことだ。そんなことは分かっている、と思うかもしれないが、以前このコラム欄で書いた「ダジャレを話せるAI会話を作ってみたのだが…」を参考にしてもらいたい。

そこでも書いたのだが、LINEやチャットなどで、ある程度会話ができるソフトウェアなら我が輩でも、わずか数日で作れる時代になったのだ。ちなみに我が輩は、プログラマーではない。確かにシロートではなく、IT技術や機械学習については専門であり、最新情報は常に把握しているが、ここ何十年もプログラミングはしていない。それでも、「AI会話」が簡単に作れてしまうのは、ネット上に大量のソフトウェア技術が無償で公開されており、自由に利用できる環境が出来上がっているからなのだ。

マスコミが喧伝している「人工知能」とやらは、その原型技術は「機械学習」にある。これも今年の3月に書いた「AIは囲碁のルールも知らずになぜプロ棋士に勝てたか」に詳しく書いたが、ここから発展した「深層学習・ディープラーニング」が現在の「AIブーム」の火付け役だ。
で凄いのは、これらの最新ソフトウェア技術が、すべてネット上で無償公開されていることにある。つまり世界中の誰もが(もちろん技術力がなければ、その意味すら理解できないだろうが)、これらの技術を活用し、さらに独自に改良を加えて進化させることが可能なのだ。いったい、こんなことを他の業界でやっているだろうか?

民間企業なら、どこでも研究開発・R&Dの重要性を十分認識しており、売り上げの10%程度をR&Dに投資しているだろう。それが会社の競争力をつけ、利益の源泉となると信じているからだ。ところが、IT業界というかソフトウェア業界は、近年自社開発したソフトウェアをOSSと言われるオープンソースとして無償でネット上に公開するようになってきた。このOSS化によって、重要なソフトウェア技術が世界中に拡散し、一気に進化を始めたのだ。

ま~ここまでなら、数年前からの話なので我が輩も認識していた。しかし最近驚いたことは、これらのソフトウェア技術を実際に活用する際の、細々とした設定や実装技術などのノウハウまで、簡単に入手できることだ。OSSは確かに無料で入手できるのだが、実際に製品に利用しようとしても、その具体的な実装技術は難しく、セキュリティ上でも問題が多かった。それを世界中のソフトウェアのエンジニア達は、世界の壁、各企業の枠を超えてネット上で情報共有を始めているのだ。

「ギットハブ・GitHub」というWebサイトが最も有名なのだが、ここにはありとあらゆるソフトウェア技術の情報が集約され、個人が開発したツール類も無償提供されている。しかも問題が生じて、技術的な質問をしても、コミュニティの中で様々なエンジニアが回答してくれるので、すぐに解決できるのだ。
世界中の優秀なソフトウェア・エンジニアたちは、競うようにアイデアを出し、OSSを改良し、惜しげもなく自分のノウハウを公開している。だからこそ、ソフトウェア技術は超速で進化できるのだ。これがIT業界の超速進化の秘密なのだ。(別に秘密ではないか・・・)

では、どうして欧米のソフトウェア企業は、自社の商品であるはずのソフトウェアをOSS化して無償提供し、エンジニアたちは、自分の貴重な財産であるノウハウを、無償で公開できるのだろうか?

う~~む、またまた長くなってしまったので、続きは次回で。

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